この梯子は私たちが作ったものではありません
OpenKnock Culture Ladderの5段階のはしごは私たちが発明したものではなく、オランダ標準化機構NENの安全文化認証規格をそのまま借りたものです。プログラムの尺度がどこから来たのかを最後まで広げる場。学説ではなく、認証可能な規格の上で測るという言葉の重み。
OpenKnock Culture Ladder の5段階のはしごは私たちが作ったものではありません。オランダの 標準化機構 NEN が安全文化の認証規格として定着させた5つの段を、そのまま尺度として 取り出して Culture Ladder の骨格に埋め込みました。
尺度の話に入る前に、まずは一行で自分の居場所を確かめてみます。
御社で最も最近、誰かがミスを報告した時、その人に何が起きましたか?
- 不利益を被った場合 → STEP 1 · 病的
- 何も起きなかった場合 → STEP 2 · 反応的
- マニュアルが追加された場合 → STEP 3 · システム的
- 他のチームまで同じリスクを点検した場合 → STEP 4 · 事前予防的
- その人が公に評価された場合 → STEP 5 · 先導的
多くの会社は STEP 2 〜 3 の間にいます。恥ずかしいことではありません。 NEN の STEP 3 の定義をもう一度開いてみます。「責任が明確に設定され、 システムと行動の基準が明確で、モニタリング体系が整備されて 実行されます。」自分がどこにいるかを 知ること こそが STEP 4 へ 上がる最初の一歩であり、知っていることを会議室の合意ではなく 点数として持つには、まずその尺度がどこから来たのかを広げる必要が あります。
5段の起源は、英国の安全心理学者 Patrick Hudson が 1990 年代から 2000 年代にかけて、組織社会学者 Ron Westrum の組織文化類型論の上に 磨き上げた安全文化成熟度モデルです。このモデルは Shell と Leiden 大学が 共に運営した Hearts and Minds プログラム、現場作業員の頭と 心を安全行動の出発点として捉えた安全文化トレーニングを通じて 現場の言葉を身につけ、その後、オランダの鉄道インフラ運営会社 ProRail が 2012 年に自社と協力会社を同じ尺度で測るための 評価体系として定着させました。2016 年 7 月からは NEN が規格の主管者と なり、鉄道の外の産業にも同じはしごを開放しています。現在運用中の バージョンは 2024 年 1 月から効力を持つ SCL 2.0 です。 Culture Ladder の安全文化診断はこの5段を、私たちが調整した尺度ではなく、 NEN の規格そのままで測ります。会社がどこに立っているかを問う場で、 まず尺度がどこから来たのかを正直に広げる。それが Culture Ladder の出発点です。
01 · The Ladder
NEN の5段を、そのまま
下の図版は、Culture Ladder の診断結果画面の「調査目標」セクションから そのまま移してきたものです。段を押すと、NEN 認証規格に書かれた 各段の定義 がそのまま広がります。Culture Ladder は自分の基準を 隠さない方向で作りました。診断を受ける会社は、自分がどの段に 立っているかだけでなく、その段が何を要求する段なのかを同じ画面で 確認します。
上から順に 先導的 · 進歩的 (STEP 5)、事前予防的 (STEP 4)、システム的 (STEP 3)、反応的 (STEP 2)、病的 (STEP 1)。 5段の定義はいずれも行動の言葉で書かれており、会社の内外、 どの場所で読まれても同じ意味で通用します。認証規格が持つ 最も大きな力です。
02 · What “certifiable” means
規格が実際に食い込む場所
「認証可能な規格」という言葉は、会議室では往々にして重みを持たないまま 使われます。NEN SCL の場合、その重みは具体的です。審査の手順に 人と時間が正確に定義されており、規格の適用は会社内部の報告書に 留まらず、発注の入札条件にまで降りてきています。
- 審査の構造。認証を取得しようとする会社は、NEN が認定した 第三者認証機関(DEKRA · LRQA · Kiwa · TÜV NORD など)の審査を 受けます。STEP 3 以上は、リードオーディター + オーディターの 2 人チームが入り、リーダーシップ · 関与、方針 · 戦略、組織 · 協力会社、現場 · 手順、コミュニケーション、監査 · 統計の 6 領域 をインタビューと現場観察で同時に確認します。 役員室の答えと現場の答えが異なっていないかを意図的に並べて 聞き取る構造です。
- 3 年の認証サイクル。一度取得した認証は 3 年間有効で、 2 年目 · 3 年目には元の審査時間の 40% の規模で フォローアップ審査が再び入ります。一度の合格で終わらせない、 規格そのものの骨格です。
- 発注の入札条件。オランダで公共工事を受注しようとすれば、 2026 年 6 月から安全文化 STEP 3 が義務水準として定められています。 規格が安全部門の自主点検ツールではなく、入札書類の一行にまで 降りているという意味です。2022 年 1 月からはオランダ建設産業の 入札 · 契約に SCL が要求事項として組み込まれており、その根拠は 産業全体の合意 Veiligheid in Aanbestedingen (ViA) です。
Culture Ladder はこの 6 領域を分類軸として埋め込み、毎回のラウンドの結果を 同じ 5 段の尺度の上に記します。認証審査の分厚い一枚の写真を毎ラウンド 撮り直すことはできませんが、同じ尺度の上で頻繁に撮る軽い写真であれば、 Culture Ladder がその場所を引き受けられると考えました。
規格は、会議室で終わらない時にこそ規格です。NEN SCL は入札書類の 一行に組み込まれており、その場所から落ちません。
03 · Why NEN
なぜ NEN だったのか
安全文化成熟度モデルは複数あります。Bradley curve、DuPont の 4 段階、 ISO 45001 の PDCA。どれもそれぞれの場所で機能します。その中で Culture Ladder があえて NEN SCL を尺度として取り出してきたのには、 3 つの理由があります。
- 認証可能な規格、会社の内外が同じ言葉を使います。学説を 尺度として取り出していたら、会社ごとに別の読み方になっていたはずです。 しかし NEN 認証規格では、外部の審査員が同じ尺度を持って入ってきます。 上で見た 6 つの審査領域は ISO 45001 の労働安全衛生マネジメント システムの骨格と同じ場所に組み込まれており、すでに ISO 認証を 持っている会社にとっては、その上に安全文化の言葉を重ねる 自然な経路になります。
- 5 段、多すぎず、少なすぎず。3 段では会社が全員真ん中に 集まってしまい、7 段では差を区別できなくなります。5 は会社が 自分の居場所を認められる最小の単位です。
- 一段一段が行動で定義されます。「安全意識が高い」のような 抽象ではなく、「リスクを発見したら上に報告する」「システムと行動の 基準が明確でモニタリングが実行される」のような観察可能な行動。 観察可能な行動だけが測定可能です。
安全のはしごの上に、組織文化が乗っています。安全を先に測った会社が、 文化を先に見えるようになります。
Culture Ladder の診断は NEN の認証審査そのものではありません。同じ尺度を 手に取り、会社の中で自分の居場所を毎ラウンド再び測る場所です。 認証審査一度の分厚い写真の代わりに、同じ尺度の上で頻繁に撮る軽い 写真の時間軸。だからこそ「尺度が同じである」という事実が一層重みを 持ちます。認証審査を受けていない会社も、すでに受けている会社も、 同じ尺度の上で毎ラウンド自分の位置を測り直すことができます。
このはしごが私たちの発明ではなく NEN の規格であるという事実から 出発すると、次の問いが連なって続きます。どのように一社の居場所を 点数として打つのか、ラウンドが偽物にならないようにするために 何が必要なのか、平均点数が嘘をつく場所では何を見るべきなのか、 AI が分析で本当に役に立つためには何が刻み込まれている必要があるのか、 そして測定が PDF フォルダで消えてしまわないように、変化のサイクルへ どのように移していくのか。
著者

ジョン・ユンファン
Founder
schemalismを運営しています。エンジニアの視点から事業を展開し、自ら仮説を検証して次のより大きな段階へと実現していく仕事を楽しみます。コードとビジネスが交わる場所で、毎回次の一手をつかみ取ります。
この記事が属するシリーズ
組織文化、本当に測れるのか?
OpenKnock Culture Ladder は安全文化を診断するためのアンケート調査プログラムです。基準は私たちが作っていません。オランダ安全文化認証規格 NEN SCL の5段階のはしごをそのまま借りて、会社が5つのマスのどこにあるのかを、毎回のラウンドで同じ基準で測り直します。schemalism · RIMS · LRQA が共に作り、現代モービス · クムホ石油化学 · ポスコインターナショナルが約15,000名の回答で同じ基準の上に自社の位置を刻みました。測定と変化の間で見たものを6編にまとめました。
全編
06

PART 01
雰囲気と文化は違う
今読んでいますPART 02
規格から借りた五段

PART 03
測定の核心

PART 04
回次とベンチマーク

PART 05
ドメインの内側のAI

PART 06
測定から変化へ